オンリーワンでありナンバーワンの存在に

エンターテインメントはライフスタイルそのもの

2013年にKPASをオープンするまで、わたしは米軍基地内でアーティストコーディネーターの仕事をしていました。基地内で開催されるコンサートの運営、アーティストのアテンドなどが主な仕事です。
音響、照明、楽器、舞台、ホテル、運転手の手配、メディアプロモーションまですべて一手に引き受けます。一見華やかに見えますが、実際にはとても地味で細かい仕事です。アーティストのスケジュールはもちろん、食の好み、ステージドリンクとして用意するミネラルウォーターのブランドや楽屋のガムのフレーバーなどすべてを把握して間違いなく用意する必要があります。
仕事はハードですが、数多くのアーティストと接することができ、刺激的な日々でした。もちろん、基地内の職業の中でも人気のポジションであり、狭き門といわれている職ですが、わたしがこの職に就けたのは、語学力やキャリアのためではありません。むしろ、採用された当時のわたしはほとんど英語が話せず、職歴も事務やアルバイト程度でした。それでもコーディネーターとして選ばれ、第一線で働くことができたのは、挑戦を後押ししてくれた夫、応援してくれた周囲の友人たちのおかげもありますが、ミュージシャンだった父の影響も大きかったと思います。
わたしの父はピアニストで、県内でナイトクラブやピアノ教室を複数手掛ける経営者でもありました。わたしは小さい頃から父について店舗でアーティストたちと触れ合い、仕事を手伝っていました。船上コンサートでお水やおしぼりを用意したり、ラジオ局でリクエストの電話を受けてレコードを漁ったりもしました。小学生の頃から音楽が身近にある環境だったんです。わたしにとってエンターテインメントはライフスタイルそのものです。

9・11、家族の死を経験して学んだこと

2013年にダンススタジオとしてKPASを立ち上げ、しばらくの間はコーディネーターの仕事と並行して続けていましたが、そのうちにスタジオの仕事に集中したいと考えるようになり、米軍基地での職を辞することにしました。米軍での仕事は刺激的でしたし、給料・待遇ともに不満はありませんでしたが、子供たちの夢をサポートすることに全力を注ぎたいと考えたのです。自分自身もふたりの息子の子育て真っ最中で、目が回るような忙しさでしたが、後悔はありません。
わたしの生き方、考え方に影響を与えたいくつかのターニングポイントのひとつとして、二十代の頃単身アメリカに渡って生活した日々の経験があります。ある日突然思い立って渡米し、2か月ほどたった頃、9・11が起きました。英語が話せないため、なにが起きているのか理解できず、ただただ恐ろしかった記憶があります。それからすこしたって、帰国予定の1週間前にアメリカで世話をしてくれた祖母が急死しました。車の事故です。つい数日前まで元気で、「わたしはいつ死んだって怖くない」と明るく話していたのに。
アメリカでの経験は「人生は短い」ということを強烈に意識させるものになりました。いつか命が終わるときに後悔しない生き方をしたいといつも考えています。

学校では教えてくれない多くのことを得られる場所に

開設当初はブレイクダンスに特化したスタジオでしたが、現在のKPASはジャンルにこだわらず幅広く学べるエンターテインメントスタジオとして進化しています。
スタート時から変わらない方針は「技術だけでなく人間として必要なことを学ぶ」こと。挨拶や心配りを大切に、他者を思いやることを重視しています。スタジオにいるときはもちろん、学校や家庭での生活も重要です。たとえば、学校のテストで100点を取ったらスタジオに持ってくること。全員で協力して、規定の枚数が揃ったら、みんなでバーベキューをします。募金活動やチャリティ活動にも積極的に取り組んでいます。
これらの活動は、直接スキルアップに関わることはないかもしれません。しかし、長い人生において大切な経験になると信じています。
グローバル人材の育成もKPASの特徴のひとつです。わたし自身、海外のアーティストと仕事をしてきて、広い視野を持つことの大切さを実感しています。沖縄の小さな街だけを見る目と、世界を広く見る目は大きく異なります。KPASでは語学だけでなく、英語での面接シミュレーション、メンタルトレーニングなど、海外で活躍するために必要なサポートに力を入れています。
日本では「ナンバーワンでなくオンリーワン」がよいとされます。アメリカでは「ナンバーワンを目指す」ことが重視されます。わたしはそのどちらも必要だと考えています。個性を尊重すること、強い気持ちを持って上を目指すこと、そのときそのときに必要な気持ちを持った人材を育成することがわたしの新たなライフスタイルです。
エンターテインメントの世界に長く携わってきてはいても、わたしはダンサーではなく、ミュージシャンですらありません。ですが、プレイヤーではなく裏方としての経験があるからこそ、わたしにしかできないこと、KPASでしかできないことがあります。

コーディネートアーティスト

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